うみたいわ~ラーニング・ジャーニー 2023#3
福島原発事故から12年「原子力専門家の想いを聴く」(核燃サイクル研究者 兼 福島除染アドバイザー)
ゲスト:井上 正 さん
うみたいわでは、これまで、福島原発事故現場から発生し続けている放射能汚染水の処理・管理の問題を入口にして、福島原発事故によって何が起きているのかを知り、その現実を生み出しているシステムに存在する様々なステークホルダー(利害関係者・関係する様々な立場の人々)の目からシステムを眺め、そこからシステム全体の有りよう、未来の可能性を感じ取っていく学びの旅をしてきました。
多様な意見をもつステークホルダーの話に耳を傾け、対話を重ねる中で、浮び上がってきた未来の可能性について、私たちは様々な示唆を得ましたが、特に注目すべきものとして、以下のような点があります。
- 政策決定プロセスにステークホルダーが参加する機会が必要
- その際、立場の異なるステークホルダー間での「対話」が大切
- 「対話」とは、互いを尊重し、双方から橋を架けることで、共同で新しい可能性を見つけて行くことを可能する
学びの旅の中で、私たちは、深く聴く力、内省の力を高め、対話を通して新たな洞察や行動への力を得てきました。様々なスピンオフの場やアクションが生まれ、ひとりひとりの中にも、より深い意図から新しい動きが生まれようとしていることを感じています。
一方で、現実の政策決定には、ステークホルダー間の対話の機会が持たれることはなく、それらの声が活かされないまま、処理汚染水の海洋放出に向けての作業が進んでいます。さらに、気候危機対策として原発運転期間延長、原発新増設、リプレイスを含む、原子力回帰政策が国会で可決し、民主的政策決定過程や、原子力安全規制の体制に大きな課題を抱えている現状が浮き彫りになっています。
そこで、今年のうみたいわでは、私たちの社会が原発事故・気候危機・次の大地震などにどのように応答していけるのか、社会が健やかに存続していくために必要な変化を生み出すために、エネルギー政策に関わるマルチステークホルダーダイアローグの場づくりを目指していきます。
今回は、長年 核燃サイクルの研究開発に携わり、3.11以降は福島除染アドバイザーとして、またIAEAのコンサルタントとして福島レポートの作成にも携わっておられる、井上 正 さんをお招きし、ステークホルダーインタビューを通して、原子力専門家の想いに耳を傾けます。
どんな新しい景色を見ることができるでしょうか。みなさまのご参加をお待ちしています。
*ステークホルダーインタビュー:ゲストのご紹介
井上 正(いのうえ・ただし) さん
(電力中央研究所・元首席研究員、現名誉研究アドバイザー、原子力工学) 昭和49年電中研に入所。 核燃料・サイクル 関係の研究,特に高速炉用燃料の物性研究,高レベルガラス固化体の評価,乾式再処理技術,長寿命核種の分離核変換等の研究開発等に従事、1F事故後には福島県除染アドバイザー(終了 )、川内村除染検証委員(終了)、南相馬市環境回復推進委員会委員、浪江町除染検証委員、富岡町除染検証委員、福島県環境創造センター部門長、福島県環境影響評価審査会専門委員を務める。廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議委員を務める(終了)。また国際原子力機関(IAEA)コンサルタントのコンサルタント(福島レポート作成、等)
IAEA 福島レポート:
https://www-pub.iaea.org/mtcd/publications/pdf/supplementarymaterials/p1710/languages/japanese.pdf
★日時・場所等
日 時:2023年6月21日(水)20:30~22:30(JST)
場 所:オンライン ZOOM(お申し込みされた方にアドレスをお伝えいたします)
参加費:無料 *ご寄付歓迎(うみたいわの運営費とさせていただきます)
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★参加方法
peatixよりお申込みください。ご参加の方には、後ほど当日の zoom リンクを送らせていただきます。
https://umitaiwa20621.peatix.com/view
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ご参加を心よりお待ちしております。
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GAIA Journey Japan うみたいわチーム一同
https://www.facebook.com/umitaiwa
◆「うみたいわ」のはじまり
2023 年に実現してしまうかもしれない、福島原発事故からの汚染処理水の海域放出。本当にそれで良いのだろうか?――疑問と恐れを感じた U 理論を学ぶ有志で 2021 年に対話をスタート、その中で、汚染水の問題の深さ、複雑さと広がりを知り、汚染水についてだけでなく、私たちが創造したい未来を表現したスローガンの下に対話を続けて行きたいという想いが強まりました。
そのダイアローグ(対話)の中で産まれたのが「うみたいわ」です。
◆「うみたいわ」に込めた想い
「うみたいわ」という一つの言葉の中に、私たちは、私たちが直面している問題の複雑さと私たちの願いを込めています。
私たちが大切にしたい 海の対話
これから産み出していきたい未来の 産み対話
新しい解決法を一緒に 生みたいわ
利己主義から生み出してしまった様々な膿を見つめる 膿対話
変わらない現実に疲れこれ以上続けるのが嫌になってしまっているトラウマを表している 倦み対話
あなたと私、一緒に対話して未来を見出していきたい U&Me 対話
U理論のUを観たい・体現したい U観たいわ
◆「うみたいわ」のこれまでの旅
2021 年
9/30(木) 船出(キックオフ)
10/28(木) アクティビストの声を聴く
11/25(木) 漁業者、農業者の声を聴く
12/23(木) 被災地住民、避難者の声を聴く
2022 年
1/27(木) 新年対話会
2/24(木) 政策決定者(経済産業省)の声を聴く
3/24(木) 原子力開発技術者(日本原子力学会廃炉委員長)の声を聴く
4/21(木) 福島原発作業員の声を聴く
5/27-29 4D マッピング京都合宿
6/25(土)4D マッピングワークショップの振り返り
7/23(土) フィジーの若者(核被害)の声を聴く
8/18(木) セヴァン・カリス・スズキ 地球の声を聴く
12/15(木) 「最高の未来」の声を聴く"うみたいわ望年会"~福島原発事故の汚染処理水の海洋放出から
2023年
2/15(水)「対話とは?」~経産省主催のGX「説明・意見交換会」の現場から体感し対話する
4/28(金) 福島原発事故から12年 日本の社会システムを「3Dマッピング」で 「見える化」しながら可能性を探る
5/5(金) 3Dマッピング振り返り会
◆わたしたちがめざす未来
<政策決定において多様なステークホルダーによる対話が有効に機能して、
市民が当事者として責任をもって関わり、
政府がそれを遵守・実行する社会>
◆「うみたいわ」の羅針盤:U理論
「うみたいわ」では、組織や社会の変容をもたらす理論と実践の体系であるU 理論を旅の羅針盤とし、U理論の様々なツールを使った場づくりをしています。U理論の提唱者オットー・シャーマー博士や SPT の創始者アラワナ・ハヤシの主な活動の場であるプレゼンシング・インスティテュートのプログラム u.lab やガイア・ジャーニーとも連携しつつ進めています。
PI年次レポート:
https://www.u-school.org/news/the-presencing-institute-20202021-annual-report